[相談]
私は会社で給与計算を担当しています。 当社は高齢者(日本の居住者)を積極的に雇用していることから、在籍中の従業員には公的年金を受給している者が数多くおります。 聞くところによると、公的年金受給者については、公的年金受給額から控除すべき源泉所得税について定額減税が実施されるとのことですが、この場合、当社が公的年金を受給している従業員(甲欄適用者)に支給する給与から控除すべき源泉所得税についても、定額減税の計算を行う必要があるのでしょうか。教えてください。
[回答]
ご相談の場合、貴社からその従業員に支給する給与から控除すべき源泉所得税については、定額減税の計算を行っていただく必要があることとなります。詳細は下記解説をご参照ください。
[解説]
1.令和6年に実施される所得税の定額減税の概要
令和6年分の所得税については、定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されます。具体的には、居住者(※)の所得税額から、原則として、下記の特別控除の額を控除するとされています。
①本人:3万円
②同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に該当する人に限ります):1人につき3万円
※ 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。
2.公的年金に係る所得税の定額減税
上記1.の定額減税は、給与だけでなく、令和6年6月1日以後最初に支払われる公的年金等から控除すべき源泉所得税についても実施することとされています。
具体的には、公的年金等の受給額から源泉徴収すべき所得税(及び復興特別所得税)の合計額(控除前税額)から定額による減税額を控除し、控除しきれない部分の金額については、以後支払われる公的年金等に係る控除前税額から順次控除することとされています。
3.公的年金等を受給中の従業員へ支給する給与から控除すべき源泉所得税についての定額減税の適用要否
国税庁によれば、上記2.の公的年金等に係る源泉徴収税額から定額減税の適用を受ける人についても、対象者であれば主たる給与の支払者のもとで定額減税の適用を受けることとされています。
したがって、今回のご相談の場合、貴社に勤務する従業員が公的年金等を受給中であるとしても、対象者であれば貴社からその従業員に支給する給与から控除すべき源泉所得税については、定額減税の計算を行っていただく必要があることとなります。
なお、公的年金等の受給者で給与所得もある人については、給与等と公的年金等との定額減税額の重複控除額が発生する可能性がありますが、国税庁によれば、その重複控除額については、確定申告で最終的な年間の所得税額と定額減税額との精算を行うこととされています。
また、給与所得者が、主たる給与の支払者のもとで定額減税の適用を受けるか受けないかを自分で選択することはできないとされていますので、これらの点にもご留意ください。
[参考]国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A」(令和6年3月改訂版)など
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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