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【2023年12月05日】輸出商品代金と相殺された外国為替手数料相当額と返還インボイス

[相談]

 私は会社で経理を担当しています。 私の勤務する会社では海外に商品を輸出していますが、輸出先からその商品代金が振り込まれる際には、外国為替手数料相当額(手数料は日本円換算ですべて1万円未満)が差し引かれて(相殺されて)います。 これまで、上記の相殺された外国為替手数料相当額については「支払手数料(消費税は非課税仕入れ)」として会計処理を行ってきたのですが、消費税のインボイス制度において、上記の相殺された外国為替手数料相当額の会計処理を、(返還インボイスの交付義務の免除の規定の適用を受けるため)国内の振込手数料相殺と同様に、「売上値引き」としたほうがよいのでしょうか。教えてください。


[回答]

 ご相談の場合、輸出商品代金から相殺された外国為替手数料相当額について、返還インボイスの交付義務の免除の規定の適用を受けるために、これまでの会計処理を変更して売上値引きとして処理する必要はないものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。


[解説]

1.少額な返還インボイスの交付義務免除制度の概要

 消費税法上、国内において行った課税資産の譲渡等(※1、※2)につき、売上げに係る対価の返還等(売上値引き)を行う適格請求書発行事業者は、その売上げに係る対価の返還等を受ける他の事業者に対して、一定の事項を記載した適格返還請求書(返還インボイス)を交付しなければならないと定められています。

 このため、売手が負担する(税込1万円未満の)振込手数料相当額については、原則として、売手が買手に対し、売手が負担した振込手数料相当額の返還インボイスを交付しなければならないこととなります。

 ただし、その適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、その売上げに係る対価の返還等に際し返還インボイスを交付することが困難な課税資産の譲渡等を行う場合や、その売上げに係る対価の返還等の金額が少額である場合(売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合)はこの限りでないと定められています。

 したがって、売手が負担する(税込1万円未満の)振込手数料相当額について、「売上値引き」として会計処理を行っている場合には、その売上値引きに係る返還インボイスの交付義務は免除されることとなります。

※1 課税資産の譲渡等とは、資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供)のうち、消費税が非課税とされるもの以外のものをいいます。

※2 この規定における課税資産の譲渡等からは、輸出免税等の規定により消費税が免除されるもの(消費税免税取引)は除かれます

(注意点)

 売手が負担する振込手数料相当額を、売手が課税仕入れとして処理している場合には、買手から、買手が金融機関や取引先から受領するインボイスと、買手が作成した立替金精算書の交付を受け、それらを売手において保存することが必要となります。


2.輸出商品代金について値引きを行った場合の考え方

 消費税法では、事業者(消費税免税事業者を除きます)が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、本邦からの輸出として行われる資産の譲渡又は貸付けについては、消費税を免除すると定められています。

 今回のご相談の場合のように、海外に輸出した商品代金から外国為替手数料相当額が売上代金から差し引かれて(相殺されて)いたとしても、輸出取引は消費税が免除(免税)されていることから、その輸出商品代金の値引き(外国為替手数料相当額の相殺)については、返還インボイスの交付義務はありません。

 したがって、今回のご相談の相殺された外国為替手数料相当額について、上記1.の規定の適用を受けるために「売上値引き」として会計処理を行う必要はないこととなります。


[参考]消法2、6、7、38、57の4、別表第2、消令70の9、消基通6-5-3など


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

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