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【2023年11月21日】インボイス制度/旅費規程の有無と出張旅費等特例の適用可否

[相談]

 当社(年商5億円)では、従業員が出張した際の交通費や宿泊費については、旅費規程等は設けておらず、従業員(もしくは役員)個人からの請求に基づき、所得税が非課税となる範囲内の金額で、従業員(もしくは役員)個人に対し概算払いを行っています。 そこでお聞きしたいのですが、令和5年10月1日から導入されたインボイス制度において、当社のように旅費規程がない会社が、いわゆる「出張旅費等特例」の適用を受け、法定事項を記載した帳簿の保存のみで消費税法上の仕入税額控除の規定の適用を受けることはできるのでしょうか。


[回答]

 ご相談の出張旅費等特例の適用の要件に、旅費規程等の有無は含まれていません。したがって、旅費規程等がなかったとしても、出張旅費等が従業員等に対して支給され、かつ、所得税が非課税となる範囲内での支給であれば、法定記載事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められることとなります。


[解説]

1.インボイス制度における、仕入税額控除の規定の適用を受けるための要件(原則)

 消費税の納付税額は、原則として、課税期間中の課税売上げに係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算しますが、この「課税仕入れ等に係る消費税額を(課税売上げに係る消費税額から)控除すること」を、「仕入税額控除」といいます。

 インボイス制度では、上記の仕入税額控除の規定の適用を受けるためには、原則として、事業者がその課税期間の課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等(インボイス)を保存することが必要と定められています。


2.帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合(出張旅費等特例)

 上記1.の仕入税額控除の規定については、その例外として、従業員に支給する出張旅費等(出張旅費、宿泊費、日当及び通勤手当)のうち、その出張等の目的、目的地、行路もしくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その出張等に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる部分の金額(所得税が非課税とされる範囲内の金額)については、法定記載事項を記載した帳簿の保存のみで、仕入税額控除の規定の適用を受けられることとされています(出張旅費等特例)。

 この出張旅費等特例については、出張旅費等に係る社内規程や基準の有無にかかわらず、また、概算払いによるものか、実費精算によるものかにかかわらず、通常必要であると認められる部分(所得税が非課税とされる範囲内の金額)は特例の対象となるとされています。

 したがって、今回のご相談の出張旅費等についても、その出張旅費等が従業員等に対して支給され、かつ、所得税が非課税となる範囲内での支給であれば、法定記載事項を記載した帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められることとなります。


[参考]消法30、57の4、消令49、70の9、消規15の4、消基通11-6-4、11-6-5、所基通9-3など


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

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