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【2023年11月14日】電子帳簿保存法(電子取引データ)/単なる保存で認められる場合

[相談]

 私は会社で経理を担当しています。 電子帳簿保存法の改正により、令和6年1月1日以後の電子取引データの保存方法については、出力書面のみでの保存ができなくなり、一定のルールに沿った電子取引データの保存が必要になると聞いています。 一方で、電子取引データの保存について、改ざん防⽌措置や検索要件など、電子取引データの保存時に満たすべき要件に沿った対応が不要となる場合があると聞きましたので、その内容を教えてください。


[回答]

 令和6年1月1日以後の電子取引データの保存については、一定の要件を満たしている場合には、改ざん防⽌措置や検索要件など保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことができることとされています。詳細は下記解説をご参照ください。


[解説]

1.電子取引データを保存しようとする場合における原則的なルールの概要

 電子帳簿保存法では、所得税(源泉徴収に係る所得税を除きます)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、原則として、①「真実性の要件」として、正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定め、その規程に沿った運用を行う等の措置(改ざん防止措置)を行い、かつ、②「可視性の要件(PC機器の備付け、検索機能の確保(検索要件))」を満たしたうえで、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録(電子データ)を保存しなければならないと定められています。

 ただし、令和5年12月31日までに⾏われる電子取引については、保存すべき電子データを出力した書面で保存し、税務調査等の際に提示・提出できるようにしていれば差し⽀えないこととされています(宥恕措置)。 この宥恕措置(電子データの保存に代えて、紙での保存を認める措置)は、令和5年12月31日をもって廃止されるため、令和6年1月1日以後に行う電子取引については、電子取引に関する電子データの保存を行うことが必須となります。

2.改ざん防止措置や検索要件が不要となる場合とは

 上記1.の原則的なルールについては、令和5年度税制改正により新たな猶予措置が設けられており、それによれば、電子取引に係る電子データの電子保存について、下記の要件をすべて満たす場合には、改ざん防⽌措置や検索要件など、上記1.の原則的なルールに沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておけばよいこととされています。

(要件)

①電子取引データの電子保存について、電子取引データのダウンロード要請に応じることができ、かつ、電子取引データの出力書面(整然とした形式および明瞭な状態で出力されたものに限られます)の提出等に応じることができること

②上記1.の原則的なルールに従って保存することができなかったことについて税務署長が「相当の理由(※)」があると認めること(事前申請等は不要)

※相当の理由とは国税庁によれば、例えば、システム等の整備が間に合わない場合など、原則的なルールに従って電子取引データの保存を行うための環境が整っていない事情がある場合が、相当な理由がある場合に該当することとされています。ただし、システム等の整備が整っていて原則的なルールに従って電子取引データの保存ができるにもかかわらず、資金繰りや人手不足等の特段の事情がなく、電子取引データをルールに従って保存していない場合には、相当の理由があるとは認められず、上記の猶予措置の適⽤は受けられないとされていますのでご留意ください。


[参考]電子帳簿保存法7、改正電子帳簿保存法施行規則4、国税庁「電子帳簿保存法の内容が改正されました~令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要~」、国税庁「【令和6年1⽉以降⽤】電子帳簿保存法 電子取引データの保存方法をご確認ください」(令和5年7⽉)など


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

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