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【2023年09月12日】賃上げ促進税制における国内雇用者に派遣社員は含まれるか

[相談]

 このたび、当社(法人税法上の中小企業者等に該当します)では退職した事務員の補充として、人材派遣会社と労働者派遣契約を締結し、同社から派遣社員を受け入れることとなりました。 そこでお聞きしたいのですが、法人税法上の中小企業向け賃上げ促進税制における(当社の)国内雇用者に、上記の派遣社員は含まれるのでしょうか。教えてください。


[回答]

 中小企業向け賃上げ促進税制における国内雇用者には、御社が受け入れた派遣社員は含まれません。詳細は下記解説をご参照ください。


[解説]

1.中小企業向け賃上げ促進税制(旧:所得拡大促進税制)の概要

 法人税法上の中小企業向け賃上げ促進税制(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)とは、中小企業者等が、平成30年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、その給与等の支給額を前年度より一定額以上増加させたときは、その増加額の一部をその事業年度の所得に対する法人税額から税額控除できるという制度です。

2.賃上げ促進税制における国内雇用者の定義

 上記1.の制度における「国内雇用者」とは、法人の使用人(その法人の役員など、一定の特殊関係のある者等を除きます)のうち、その法人の有する国内の事業所に勤務する雇用者として、その法人の国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者をいうと定められています。

3.労働者派遣とは

 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)では、労働者派遣とは、自己の雇用する労働者を、その雇用関係の下に、他人の指揮命令を受けて、その他人のために労働に従事させることをいうと定められており、労働基準関係法令(労働基準法など)などに関する責務は、基本的に、派遣労働者の雇用主である派遣元事業主(人材派遣会社)が負うこととされています。

 このため、派遣社員(派遣労働者)に対して給与(賃金)を支払うのは人材派遣会社(派遣元事業主)となり、その給与に係る賃金台帳は人材派遣会社において作成され、派遣社員に支払われた給与等はその賃金台帳(人材派遣会社の賃金台帳)に記載されることとなります。

 したがって、ご相談の中小企業向け賃上げ促進税制における御社の国内雇用者には、御社が受け入れた派遣社員は含まれないこととなります。


[参考]措法42の12の5、措令27の12の5、経済産業省・中小企業庁「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック-令和4年4月1日以降開始の事業年度用-(個人事業主は令和5年分以降用)」(令和4年12月27日更新版)、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律2など


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。

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