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【2023年07月25日】インボイス発行事業者が免税事業者に戻るための手続き

[相談]

 私は個人で小規模な商店を経営しています(消費税免税事業者です)。 このたび、諸般の事情から、令和5年10月1日からのインボイス制度導入に合わせ、同日から適格請求書発行事業者の登録を受け、消費税課税事業者となる予定です。 そこでお聞きしたいのですが、今後も年間売上高が1,000万円以下で推移し続けることを前提に、私が、ある年の翌年から消費税免税事業者に戻ろうとする場合、いつまでに、どのような手続きが必要となるのかを教えてください。


[回答]

 ご相談の場合、消費税免税事業者の規定の適用を受けようとする年の前年の12月17日までに、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を提出する必要があります。詳細は、下記解説をご参照ください。


[解説]

1.消費税免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けた場合の消費税納税義務

 消費税法上、事業者のうち、その課税期間(※1)に係る基準期間(※2)における課税売上高が1,000万円以下である事業者については、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき、原則として、消費税を納める義務を免除することと定められています(消費税免税事業者)。

 ただし、上記の「1,000万円以下である事業者」からは適格請求書(インボイス)発行事業者を除く、と定められているため、インボイス制度が導入される令和5年10月1日以後、適格請求書発行事業者は、その登録日の属する課税期間以後の課税期間については、上記の消費税免税事業者の規定の適用はなく、消費税を納める義務があることとなります(※3)。

※1 課税期間とは、原則として、個人事業者は1月1日から12月31日までの期間、法人は事業年度と定められています。

※2 基準期間とは、個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人については、原則として、その事業年度の前々事業年度をいいます。

※3 消費税免税事業者である個人事業者が、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者の登録を受けた場合には、登録日である令和5年10月1日以後は消費税課税事業者となるため、令和5年10月1日から令和5年12月31日までの期間について、消費税の申告が必要となります。

2.ふたたび消費税免税事業者の規定の適用を受けようとする場合の手続き

 消費税法上、適格請求書発行事業者がその登録の取消しを求める旨の届出書(適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書)をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、その提出があった日の属する課税期間の末日の翌日に、適格請求書発行事業者の登録は、その効力を失うと定められています。

 ただしその提出が、その課税期間の翌課税期間の初日から起算して15日前の日までに届出書を提出する必要があり、同日の翌日からその課税期間の末日までの間に提出された場合には、適格請求書発行事業者の登録の効力が失われるのは、その課税期間の翌々課税期間の初日からとなります。

 したがって、今回のご相談の場合、ある年の翌年からふたたび消費税免税事業者の規定の適用を受けるためには、その適用を受けようとする年(課税期間)の初日(1月1日)から起算して15日前の日(12月17日)までに、適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書を提出し、適格請求書発行事業者の登録を失効させる必要があることとなります。

[参考]新消法9、19、57の2、インボイス通達2-5、財務省「令和5年度税制改正の大綱」など


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。


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