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【2010年03月02日】収益物件を相続した方の確定申告チェックポイント

賃貸アパートを所有していた方がお亡くなりになり、その賃貸アパートを相続により取得した方は、その後その物件を継続して賃貸していれば、不動産所得の確定申告が必要になります。その場合、ほとんどの方が初めての不動産所得になるでしょうし、相続により取得した場合には、取り扱いに迷う項目もあります。この点について、ご説明します。


1.被相続人が所有していた賃貸アパートなどの減価償却資産  (所法60(1)、所令126(2))

(1)取得価額    被相続人の減価償却資産として記載されている金額を引継ぎます。

(2)帳簿価額    被相続人の減価償却資産として記載されている金額を引継ぎます。

(3)耐用年数、償却率等    被相続人の減価償却資産として記載されている年数を引継ぎます。

(4)償却方法    被相続人が採用していた償却方法はそのまま引き継げません。   相続人側において新たに償却方法の選定届出が必要です(所令123(1)(2))。   もし届出をしない場合には、一般的には定額法になります。    なお、建物に関しては、次の期間において相続により取得した場合には、   それぞれの償却方法となります(所令123(4)、所基通49-1)。    ・平成10年4月1日~平成19年3月31日…旧定額法    ・平成19年4月1日~…定額法


2.収益物件の移転登記費用

 相続により取得した賃貸アパートの移転登記費用は、必要経費になります(所基通37-5)。 従前は必要経費になりませんでしたが、平成17年1月以降の相続、遺贈又は贈与により取得した場合には、必要経費として取り扱われることになりました(平17.6.24課個2-23附則)。


3.青色申告特別控除

 相続により取得した方の不動産所得について、青色申告特別控除を適用したい場合には、青色申告承認申請書の提出が必要です。すでに青色申告承認申請書を提出している方は関係ありませんが、初めて青色申告特別控除を受けたい場合には、提出期限に注意を要します。 通常ですと、この申請書は、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までに提出します。その年の1月16日以後に、新たに事業を開始したり、不動産の貸付をした場合には、その事業開始等の日から2月以内に提出します(所法144、166)。 しかし、青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれ次の期間内に提出しなければなりません。


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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